全国の高校3年生に対して、衝撃の発言を今からします。
「授業の進度なんて気にするな。夏の時期は構造推定を極めましょう」
少し化学をかじったことある人間なら意味不明な一言かもしれません。
一番難しい科目をなんで夏にやるんだ?
文科省の言うこと聞いておいたほうが絶対いいでしょう?
そうやって言うんなら何かしら理由はあるんだろうな
このような反論に全部答えていきます。
そのうえで、どのように勉強を行っていくべきか、そこまでしっかり書いていきます。
この記事を読んだあとには、もう夏にやることで見失うことはありません。
夏休みに理論化学しかやらないのは危険
多くの人が表題のような勉強法を実践するはずです。
しかし、これは完全に誤りです。
理由は単純で、理論化学の出題は想定よりも小さいからです。
理論化学の単元を列挙します。
原子、酸塩基、酸化還元、気体、溶解度、圧力、浸透圧、平衡
こんなところでしょうか?
実は、実際の入試問題ではここまで幅広く出題されません。
特に原子のところや浸透圧なんて殆ど出ません。
出ないからと言ってできない理由にはもちろんなりません。
ただ、僕が言いたいことは、出ないものよりも出るものを先にマスターするべきではないか?
ということです。
一方で有機化学
知識、構造推定、高分子
このうち、知識と構造推定は包含関係になっているのでほぼイコールです。
単元が少ない割に出る部分が決まっています。
それなのに、多くの受験生がここまで手が回りません。
こんなに出やすい分野なのに、多くの受験生がここまでできるようになりません。それはなぜか?習うのが遅いからです。
有機化学は教科書だと最後に記載
有機化学は教科書の最後にちょろっと書いてあります。
しかし、受験ではめちゃくちゃ出ます。
だから普通の進度ではどうしても追いつかないのです。
しかも、構造推定の問題は非常に慣れが必要になってきます。
ある程度推測で解いていく必要がある分野なのに、演習量が足りないということは非常に危険です。
そのために、前倒しで学習する必要があるのです!
有機化学は比較的独立した科目である
このようなことを話したとき、一つ言われたことがあります。
サイエンスは積み重ねの学問なので、このように飛ばしても問題ないのでしょうか?
確かに、研究であればそうかも知れません。
しかし、こと受験に関しては気にしなくて良いです。
その理由は、有機化学が大学の知識なしには語れない部分が多く存在するためです。
大学における有機化学は有機電子論と呼ばれるもので進んでいきます。
これは、画像を見てもらったほうが早いので掲載いたします。
これは大学の教科書を一部抜粋したものになっています。
赤い矢印が電子の動きを表しているのですが、このような事実は高校では扱いません。
積み重ねの最初の部分が全く行われていないのです。
筆者はこのことを割と由々しき事態だと考えています。
有機化学の反応が起こることへの解釈はこの考え方なしにはわからない。
にもかかわらず、高校では一切そのような内容を教わらない。
この事実から、有機化学の範囲は丸暗記として処理されてしまい、多くの受験生に苦手意識を植え付ける問題となるのです。
こればかりはカリキュラムなのでどうしようもないです。
しかし、受験であればある意味戦略が成り立ちます。
夏休みにある程度理解して、二学期から再度学習すれば暗記問題を2回処理することができるのです。
多くの受験生はそこまで対策が回らないので圧倒的に差ができますね。
これが合格を手繰り寄せる秘訣なのです。
わざわざ夏期講習をとる理由はサイエンスの面白さから
有機化学を早期に学習するメリットはおわかりいただいたと思います。
ただ、これではまだ「夏期講習を取る理由」について触れられていません。
これについて解説いたします。
この理由は、ある程度時間がある中で講師が教えてくれるからです。
夏期講習は合否が決まる直接的な要因にはなりません。
まだまだベースアップの時期です。
この状態だと、講師は応用力を身につけるための基礎力に焦点を当てた授業を展開します。
応用力とは、原理原則を駆使して未知なものに対応していく能力ですね。
先程の大学の内容そのままではないでしょうか?
入試に直接出るわけではないが、重要な考え方を夏期講習では扱ってくれるのです。
これは、独学より圧倒的に効率的です。
受験生が仮に大学の教科書に手を出したとしても、辞書的な使い方になると思います。
しかし、夏期講習で扱う部分は大学の教科書で言うところの序章に該当します。
このページを辞書で開く可能性はなかなかないことと同じように、独学だと抜け落ちてしまう部分になります。
その部分を体系的に指導してくれる存在が夏期講習です。
利用しない手はないのでしょうか?
まとめ
ということで、今回は夏期講習では構造推定を取るべき理由について解説いたしました。
夏期講習はいろいろなものが存在するので非常に迷う存在だとは思います。
だからこそ、あえて構造推定という未知の分野に挑戦するというのはいかがでしょうか?