化学

電池の応用問題としてLIBを取り上げる

化学の応用問題のパターンとして「受験生に馴染みが無いものをいきなり出題する」というものがあります。

このケースは模試でしか練習できないので苦手な人が多いと思います。

今日はそんな悩みに答えます。

応用問題をどんな感じで解けばよいのか、これについて解説していきます。

その具体例としてリチウムイオン二次電池(LIB)を例にとり上げます。

LIBとは

LIBとはリチウムを利用した電池のことです。

スマホの中に入ってたりするのでなじみが深い問題ですね。

なんでこんなものが生まれたのかというその経緯を考えていきましょう。

これは電池の性質を考えてあげるとよく分かります。

電池とは、イオン化傾向の大小関係をうまく利用して作るものです。

イオン化傾向とは、大きい金属ほどイオンになりやすく、小さい金属ほどイオンになりにくいというあれです。

これ、需要と供給がマッチしているんですね。

イオン化傾向が大きい金属は陽イオンになりたいため電子が欲しいです。

一方で、イオン化傾向が小さい金属はイオンからもとに戻りたいので電子が欲しいです。

なので、両者の間で電子の受け渡しができればお互い釣り合うわけです。

それが実際に起こります。

電子の受け渡しはわりとどこでもできます。

できるのですが、これをあえて導線経由で行います。

そうすると導線周りを電子が通っていきますよね?これを一部拝借して電気を生み出します。

さて、この条件を踏まえて考えます。

イオン化傾向が大きい金属が必要になりますね。

イオン化傾向は周期表の左上に行くほど大きくなります。

そのトップに君臨する金属こそ、リチウムなんですね。

このことから、LIBは電池の中でもとびぬけて才能があることが分かるわけです。

LIBの特徴

ただ、入試問題で出題されると厄介この上ない存在になるのです。

LIBは普通の電池とは多少違います。

まずは溶液、これは有機溶媒を使います。

受験で出てくる電池は基本水でできているので少し驚いたのではないでしょうか?

水にしてしまうと、極端に電圧が下がることが知られています。

これは水が金属の代わりに電子を受け取ってしまうからですね。

これを避けるために有機溶媒を使うのです。

ただ、欠点もあります。

爆発事故が起こりやすいんですね。

油を詰めているようなものですから、そりゃ危険です。

そこを何とかするために日夜研究が行われています。

LIBが受験に出るなら?

LIBは東京大学で一度出題がある問題です。

そのため、たまにほかの大学がオマージュとして出しますが、クソ難しいので基本みんな解けないです。

なので、ここではメカニズムを覚えて帰ってください。

二次電池の本質は、イオンをためることができるという点にあります。

これが非常に重要です。

よくある鉛蓄電池を思い出しましょう。

硫酸鉛という状態で電極にくっついていますよね?

この状態が理想です。

電池

鉛蓄電池だと、Pbがこびりついていることがわかりますね。

つまり、電極にリチウムがとどまっていればよいのです。

リチウムは+1の金属なので、電荷が変わりますね。その分電子を共有している、と考えればLiとeの移動という観点から式が立てられるはずです。

そうすればあとはよくある電池の問題と同じ手順です。

こんな感じで、習ったところと似てる部分はどこかを捉えると格段に解きやすくなります。

最近の流行り

そうはいってもLIBは割と頻出になってしまいました。

慶応大学とかも出題してきた気がします。

そうすると、わざわざ応用問題として出す必要がなくなっちゃいます。

その場合、次に考えられる内容がナトリウムイオン二次電池(SIB)です。

SIBは名前の通りでリチウムの代わりにナトリウムを使った電池です。

これはLIBにはない特性があります。それが安いってことです。

LIBはリチウムを使っています。これ、実はすごく高いんです。

レアメタルって言葉は聞いたことあると思います。

取れる国が限られているのでほとんど地球上に存在しない、ってやつです。

金属が足りなくなる問題を解決するための手段です。

本当に置き換えただけなので、受験生から見たら意味不明な問題になります。

そういったパニックを装えることもこの問題の良いところです。

ただ、ここで記事を読んでくれた人はもう大丈夫ですね。

格納される金属がナトリウムになっただけなので同じような処理をしてくれればOKです。

応用問題の心構え

化学の応用問題は実はパターン化されています。それは以下の2つです。

1:未知の反応に誘導を付けてその場で理解してもらう

2:よくある反応を反応物の種類だけ変えて混乱させる

LIBは2の要素が強いです。

式さえできれば後は鉛蓄電池と同じような計算手法で何とかなるからです。

酸化還元を得意分野にする必要があるのはこのためです。

酸化還元反応は1番のケースで問題を作りにくいんですね。

このため、比較的点数が安定するのです。

まとめ

今回はLIBについて触れてみました。

割と難しい問題ではありますが、ノーベル賞を受賞した技術です。

たまには中身を知ることも良かったのではないでしょうか?

受験の問題としてではなく最先端の研究としても面白いので興味がある人は是非調べてみてください。